工場やビルなどの設備からエアコン,冷蔵庫などの家電製品,さらに電気自動車やハイブリッド・カーなど暮らしの中の様々なシーンにおいて電気的な高効率と低消費電力技術が中心課題になっています.
筆者:坂詰 秀昭
図1はソーラ・パネルを使った自家発電システムの一例です.太陽光発電では日照により発電量が刻々と変わるため,発電量を常に監視しなければなりません.発電した直流はDC-DCコンバータで昇圧した後にDC-ACインバータで商用の交流に変換されます.このとき各部に損失があると発電エネルギが無駄に失われることになるため,両者の電力変換効率はシステムのカギを握ります.
図1 自家発電システムにおける電力測定個所
また,自家発電では発電に余裕がある場合にライン側に電力を戻して売電することも行われますが,その際には売電と買電の正しい電力積算が必要になります.一方,当然ながら電力を消費する機器群にも低消費電力化は必須要件であり,機器の消費電力や機器内部の回路,回路を構成するデバイスそれぞれについて省エネ対策が求められるため,詳細な電力測定が必要になります.
「電力」は電圧と電流の積であり,「電力量」は電力を時間積算することで得られます.値が一定した直流であれば電圧と電流を個別に測定することで電力を求めることができますが,交流や半導体回路など過渡的な変化を伴う直流では電圧と電流の時間関係が大きな意味を持つため,電圧と電流を同時に(一つの時間軸で)測定しなければなりません.
同様に,ひずみのない正弦波交流であれば電圧と電流の実効値と位相から電力を計算できますが,非正弦波では電圧と電流それぞれの瞬時値から電力を求めなければなりません.近年では図2に示したインバータ・モータのPWM波のように非正弦波で駆動する機器が多いため,測定器側も非正弦波形に対応したパワー・アナライザなどが浸透してきました.
図2 インバータ・モータの駆動波形例
また,図3は電圧・電流の位相と電力の方向(消費/回生)の関係を示したものです.電源と負荷だけの通常の接続形態では,電流の位相は電圧に対して±90°の範囲にあります.ところが,自家発電システムなどのように負荷側から電力が回生される(系統への逆潮流)場合の電流位相は±90°を超えます.売買する電力の積算などにおいては電力の向きが重要な意味を持つわけですが,90°を超えることを想定していない従来型電力計では対応できないことがあります.
図3 交流の電流位相と電力の関係
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